装飾と粉飾

先日、こちらの勉強会で話し合ったテーマは「売れる商品とはどういうものか?」というものでした。結論を端的に言えば、売れる商品とは”優れているように見えるもの”であって単純に機能が優れていて使いやすいものが最終的にヒット商品になるわけではない、というものです。至極納得ですね。

買い物する度にいちいち使い勝手を試すわけにはいかないですし、自分にとって価値あるモノであるかどうかはかなり長く使わなければ分からない。とすればネットのレビューなどを除けば、購買行動は自分が抱いたおおよその印象と値段で判断するしかないわけです。
更に言えば、人間の心理として自分が最初に下した判断や決断を後から自分で覆すのは難しいものです。「買ってはみたものの、期待してた程じゃないかも…」という考えが頭をよぎったとしても、『かと言って今更他のものと比べることも出来ないし。』『イマイチだけどなんやかやで愛着が沸いてきたから。』などと自分で自分を丸め込んでしまう経験に、心当たりのある方は案外多いのではないでしょうか。

 ところで。
私が参加したこの勉強会で一緒に参加されていた方が、このテーマに関連して質問をされました。よそ様のビジネスの話なので詳しい説明はここでは控えますが、私の理解した範囲では喩えていうとこんな具合です。
 ”高級フルーツ店に、とある農協から「産地直送の野菜も試しに売ってくれ」という依頼がありました。かと言ってウチは厳選された果物がウリのフルーツ店。店の隅っこに形が悪い野菜なんかが置いてあったらイメージに悪影響が無いとも言い切れないし、どうしたものか??”
 私はとてもタイムリーな質問だと思いました。
確かに、店の一角が田舎によくある野菜無人直売所の様相を呈していれば、全体が一気に胡散臭く見えてしまう事でしょう。けれども、たとえ形の悪い野菜でも一つ一つパッケージングして「産地直送、完全無農薬」なんかを謳えば、もっと言うと値段も普通よりも微妙に高いくらいに設定すれば、むしろスーパーに並んでいる普通の野菜よりも有り難いものに見えるかも知れません。まあ俺は安い野菜しか買わないけど。少なくともプレミアムな商品を扱っている、という点では統一感を出せることと思います。
こんなたとえ話はおくとしても、この話の肝は「如何にプレゼンテーションするか」ということであって、いずれにしろ優レテイル様ニ見エルヨウニスルというポイントは外してはならない要点だと思います。

では今回の落ちとして最後に失敗例を一つ。
突然ですが、車の色というのはちょっと捻った名前が多いですよね?
黒、青、えんじ色…というのではなく、マットブラック、メタリックブルー、ワインレッド…などという名前で呼ばれていたりします。もちろん、これは表面の仕上げなども含めて色合いをより正確に表現しているのだと思いますが、日本語で「艶消し黒」などと言うよりはやはりマットブラックの方がスマートな印象を受けることと思います。というわけで、マーケティング的な側面が全く無いとは言い切れませんよね?
残念ながら弊社でもこれと同じような”マーケティング主導”のリネームが起きてしまいました。以前はレッド、蛍光レッド、グレイ、ダークブルー、ミッドブルー…などと呼ばれていたものが、色そのものは変わらずに名前だけが改変されてしまったのです。新しい名前はそれぞれスカーレット、ネオンレッド、シルバー、オーシャンブルー、パシフィックブルー…スカした雰囲気を出そうとするあまり、もはや名前だけで色の組み合わせを想像するのが逆に難しくなりました。本当に感謝しています。灰色がシルバーって…詐欺だろ…。

素敵な商品を格好良くディスプレイすれば、それは売り上げにもさぞかし効果的でしょう。けれども実態が全く変わっていないのに聞こえだけ良くしようとするのはただの粉飾です。こうなるとチャチな安物を良さげに見せている通販サイト並みの胡散臭さです、みなさんも気を付けて下さいね。

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